変形性膝関節症に対する新しい薬の可能性 その1
日本整形外科学会より
変形性膝関節症に対する新しい薬の可能性 その1
第30回 日本整形外科学会基礎学術集会から、興味深い題材を紹介しています。
本日、ご紹介するのは、この演題です。
題名 :血管新生阻害剤bevacizumabによる変形性膝関節症の進行抑制効果の検討
発表者 :長井敏洋先生(東海大附属八王子病院)等
Bevacizumabはアバスチンという商品名で中外製薬から発売されています。
抗がん剤の一種で、血管を作ることを抑える薬です。
がんは、育っていくために沢山の栄養が必要なため、血管を作り栄養を集めようとします。
その血管を作らせないようにして、がんが育つのを邪魔しようという薬です。
イメージとしては兵糧攻めのような感じでしょうか。
その薬が、変形性膝関節症の進行を抑える働きがあるという発表です。
変形が進むとき、関節内に血管が増えることが悪影響を及ぼしているので、その血管を増えないようにすることで、進行を食い止めようという考えです。
ウサギでの実験ですので、すぐに人に応用できるという話ではないですが、膝全体の進行予防効果が認められたそうです。
痛みを抑える効果も出るようです。
元々、Bevacizumab は静脈投与をする薬ですが、関節の中に直接注入しても問題なく効果が出たそうです。しかも、静脈投与の半分の量で効果がでるそうです。
既存の薬を応用する治療法は、臨床の現場に届きやすいです。
こういった新しい発見が、これからも増えていくのだと思います。