脂肪と神経
日本整形外科学会より
脂肪と神経
第30回 日本整形外科学会基礎学術集会から、興味深い題材を紹介しています。
本日、ご紹介するのは、この演題です。
題名 :ヒト脂肪組織由来再生細胞(adipose tissue derived regenerative cell: ADRC)を用いた新たな末梢神経再生促進療法の開発
発表者 :藤岡弓朗先生(広島大学)等
末梢神経は、中枢神経よりは治りやすいと言われているものの、一度損傷を受けると治らないこともあります。
その末梢神経を、細胞を使って修復しようという試みが、この演題の内容になります。
当院でも扱っているサイトリセラピューティクス社のCelutionという装置を使い、脂肪から集めた細胞(脂肪組織由来再生細胞:ADRC)を使った研究です。
コラーゲンが中につまったシリコンチューブで神経をつなぎ、そこにADRCを加えると神経が働いたということで、この方法を応用すれば、縫い合わすことのできないような末梢神経損傷でも、修復することかできる可能性があります。
この発表では、細胞自体がそこに定着するのではなく、細胞から出てきた物質は神経再生を促していたことも書かれていました。
細胞自体が定着しなくても、修復に有効な物質を多量に放出することで、治療を促進するという現象は、幹細胞系の働きとしてよく聞く話です。
色々は作用を活用して、治らなかった病気を治せるようになると良いと思います。