脂肪と背骨
日本整形外科学会より
脂肪と背骨
第30回 日本整形外科学会基礎学術集会から、興味深い題材を紹介しています。
本日、ご紹介するのは、この演題です。
題名 :脊椎再建における脂肪由来幹細胞のcage内骨形成促進効果
発表者 :井上啓先生(金沢大学)等
背骨に癌などができた時、治療のために広い範囲を取り除かなくてはいけません。
そうすると骨まで取り除くことになるため、そのままでは、体を支えることができなくなります。
体を支えることができるように、カゴのようなものの中に、体の他の部分から取ってきた骨を入れて、移植をします。
そうすることで、新しく骨が作られて、体を支えることができるようになのです。
ただ、この治療では、時々、骨が上手く作られないことがあります。
脂肪から取った幹細胞(脂肪由来幹細胞)を使うと、骨が上手く作られるようなったというのが、この演題の内容になります。
脂肪由来幹細胞は線維性の組織を作る能力が高いです。
骨が作られる時、初期段階では線維組織が必要です。
脂肪由来幹細胞の線維を作る力が、その初期段階を加速した結果、骨が上手く作られたのだと考察されていました。
脂肪由来幹細胞が活躍できる領域は、本当に多岐に渡ると思います。